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フリーゲームの感想・考察を書き殴ったブログ。基本ネタバレ。 以前のブログ名は形容詞だったので、名詞に変えた。次があるのなら副詞にしたい
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【感想・考察】『操 鳴神アキの異界事件簿』①

『操』とは?
 せん制作のフリーゲーム。ジャンルは探索ホラーアドベンチャー。
DLは→http://novice2.web.fc2.com/game/misao/index.html


『操 鳴神アキの異界事件簿』とは?
 原作『操』を元に元長柾木が執筆した小説。挿絵は糸色が担当している。
Amazonリンク→操 鳴神アキの異界事件簿

ここから先は『操』及び『操 鳴神アキの異界事件簿』のネタバレをしています。
どちらか片方でも未プレイもしくは未読な場合、閲覧非推奨です。





感想・考察記事の書き出しとしては何ですが、まさか操が小説化するなんて夢にも思いませんでした。
操三周年の告知で操が小説化とあって、本当に信じられない思いでいっぱいでした。(マッドファーザーはノベル化するだろうなと思っていたので衝撃はあまりなかった)
失礼ですが、操はグッズ化すらも無いだろうなと思っていたので1ファンとして本当に嬉しかったです。

小説の感想・考察ですが、私は基本的に「原作『操』≠小説版『操』」というスタンスで行こうと思います。
後々書きますが、原作と小説版のアキと倉田があまり同一人物とは認められないことや、異界に飛ばされる時全員一緒にいるなど、ところどころ違っているので、そのようなスタンスで行こうと思います。


この記事ではストーリー抜きでの、キャラごとの感想とか考察だけを取り扱います。
参考までに
文章量は「アキ>工藤>操>倉田>叶真>吉野>彩加>早乙女」


【アキ】(鳴神 アキ)
原作の設定を引き継ぎつつも、原作のアキとはまたベクトルの違った狂人でしたね。
原作のアキは、リフレッシュルームでもありましたが、操のことになると周りが見えなくなる子でした。しかし小説版は原作と比べると、操一筋というわけでもないのが伺えます。(操によって彩加が死んでしまったと勘違いして憤怒するなど)そこは心情表現の多くできる小説だからこそ生まれた差異かなと思います。

また、警戒心や戦闘力の高さも全く違いますね。原作はプレイヤーがいるので当たり前ですが、ゾンビは倒せないわ、電話の音に驚いて壁に打ち付けられて死ぬわで小説版アキと比べると可哀想なくらいです。

原作アキと小説版アキの決定的な違いのひとつは性格だと思います。
前述したように操一筋というわけでもないことと、キャラクターへの向き合い方が全く違うことがそれにあたります。
キャラクターへの向き合い方はざっと比較してみると分かりやすいでしょうか。(一部抜けているところがあるかもしれません)



原作では吉野に対する仕打ちだったものが、小説版では工藤に対するものになったものがありますね。(水色文字)正直、吉野がレイプされる表現の方がリンチされるより良いと思いました。自分が受けた仕打ちをそのまま返す方が、よりリアリティがありますしね。

小説版の方にだけあるのが「操への謝罪の要求」ですね。(紫色文字)これが原作と小説版の性格の違いが顕著に現れている部分だと思います。
これは私も操の物語を考察する上で何度も気にかかっていたところで、真EDではアキがひとりひとりの「赦し」を援助していく形でしたが、ただ赦されるだけで操への謝罪を行っていないキャラが複数名いたのが気にかかっていました。
「操を救う=操に赦される」設定であるためにこのようなことになっているのかもしれませんが、操を救うこと(=肉体回収)ばかりが先行するより綺麗だなと思いました。

一番下の赤文字ですが、ここは原作と小説版のアキの違いというより、倉田の違いなので倉田の感想・考察で書こうと思います。

感想文の最初で「小説版アキが原作のとは同一人物とは認められない」と書いた理由は、やはり小説版アキが「人間らしい」ということです。
私のアキ像とは「自分の感情を表に出さず、かつそれに耐えることが出来、精神的ショックや人を受け入れられるキャラ」だったので、小説というメディア上仕方がないことなのですが、そこで齟齬が発生したように思えます。

とりあえずアキはどんなメディア上でもイケメンですね。


【彩加】(如月 彩加)
原作では倉田のキャラを立たせるために、倉田ファンとなり、倉田にあっさりと殺される影薄キャラでしたが、小説版では親友ポジションと倉田・鬼瓦ファンポジションが強固になっていて報われたなあと思いました。


【吉野】(吉野 佳月)
「怖いいじめっ子キャラ」が板についていて、良かったね吉野ちゃん。
原作ではあまり強調されなかった、「いじめっ子筆頭」「叶真に片思い」「態度・口の悪さ」が際立っていて、より「吉野らしさ」が小説では現れていたかなと思います。

個人的にぐっときたのは「叶真に片思い」しているのが感じられたことですかね。
小説352Pで精神的にも肉体的にも追い詰められているような状態で、助けを求めた相手が叶真という事実に凄く吉野の想いが感じられてぐっときました。

アキと激しく敵対しているのも両者の立場が浮き彫りになっていて好印象でした。


【早乙女】(早乙女 陽菜)
悪霊にもぐもぐぱくぱくされて可哀想。終わり。

で終わらせたいくらいには書くことがありません。
良く言えば原作通りで印象変動がなかったということでしょうか。


【工藤】(工藤 守)
彩加・早乙女とは違って書くことが沢山あるのが工藤です。

今回ノベル化でキャラ全員のフルネームが確定しましたが、工藤のフルネームが一番皮肉かつ切なくて好きですね。操を守れなかったのに「守」だなんて…。

小説版の工藤の性格についてですが、まず原作での工藤の紹介文がこうでした(下画像参照)


落ち着きのある少年設定ですが、それに反して原作では大方取り乱していました。
しかし小説版ではいくつものシーンで冷静な言動を行っているのが見受けられて、好感を持てました。
叶真との掛け合いも「嫌いなのに仲が良い」感じがして癒やしでしたね。
この小説化で一番好感度の上がったキャラかもしれません。

工藤を語る時に、無くてはならないのが、やっぱり童貞だと思います。
原作では一回しか言われなかったのに、小説では四回くらい言われていて不憫でしたね。
あまつさえ「俺、童貞だから……操の気持ちなんか、ぜんぜんわかってやれてなかった」と自虐していて、本当に不憫でした。正直に言うと、そこで笑いました。
ですが、工藤は不憫であればあるほど生きるようなキャラな気がします。根暗ですし。

これはストーリーの感想・考察で書こうと思っていましたが、こちらにも書いておきます。
小説389Pで「愛してるよ……操……」という台詞に対する操の反応が「一瞬息を呑んで」とあって、原作より脈ありな描写になっていて工藤報われてましたね。
同じページで小さいころの約束を互いが覚えているなんていう胸キュンイベントもあったわけですが、やっぱり工藤は結ばれない方が生きますね。


【叶真】(結城 叶真)
叶真の名前も若干皮肉ですよね。「勇気」が無いのに「結城」だなんて。でもそこは工藤よりストレートじゃないので、それほど印象強くもありません。

既プレイヤーから見て、株が急上昇したのが叶真でしょうね。
原作通りのクズチキンっぷりを披露した後の倉田を追い詰めた叶真のかっこよさ、というより成長ぶりは目を見張るものが有ります。

かなり驚いたのが小説462Pで「先生がオレの彼女を殺した犯人だって知って、ムカついてるんだから」と言っていて、操とは遊びじゃなかったんだなあってことですね。
原作の設定は下画像にある通りです。(リフレッシュルームより)


この原作とのギャップが小説をあのような結末に導いたので、この小説における既プレイヤー騙しのひとつだったと思います。

操にきちんと謝っているのも高ポイントですが、叶真は異界に残った方が良いと思いますね。好かれているかいないかで叶真と工藤との間に差が出来るなんて不憫。工藤、不憫。


【操】(吉川 操)
原作よりえげつない操ちゃんです。

原作よりえげつない理由は、操の性格の暗い部分が多く描写されたからだと思います。
吉野達への仕打ち・叶真の彼女である優越感の描写など、小説というメディアであるからこそ表現しきれたのではないかと感じます。

また、暗い部分だけでなく「立ち直り」も描かれていて、救われたその先まで書かれているのに感動しましたね。ラストでジョークを言ってアキと笑い合う二人は、何度読んでも本当に良かったな、という気持ちになります。

今回操に驚かされたのはこれだけじゃなく、倉田の暗い部分も操が担っているところでしたね。
原作でも、操と倉田は「誰にも受け入れてもらえない」という共通点が有りました。
小説版の倉田は誰にも受け入れられなかったことで(精神が崩壊して?)、性格破綻しています。したがって原作でよく見られた「受け入れてくれない」「拒絶」などのワードは過去の映像以外では使われません。
そこで性格破綻していない操が、倉田のワードを多用していました。(6章参照)

加えて、倉田が救われる時に整形後の顔ではなく前の顔になって泣く、という表現が原作でされていました。言わずもがな、小説版にはありません。
そこを継承したのか、操は救われる時に元の姿に戻っています。(小説402P)


【倉田】(倉田 秀樹)
『操』の裏ヒロインです。多分。

正直に書きますと、小説版の倉田はあまり好きではありません。
7章に至るまでは原作にコテコテ設定を塗り固めた感じで好きでしたが、7章で原作とは根本的に設定が違うことに気付かされました。
アキの感想・考察で乗っけた画像にあった、倉田の原作と小説版の違いもこれですね。
小説版では、倉田は完全に悪役なのです。
根本的に考え方がおかしく、考え方と行動に矛盾が生じた悪者。で終わっているのが、このキャラ好きとしては本当にショックでした。
『操』の良さというのは「アキがキャラ一人一人と向き合い、更生の後押しをしてあげること」だと思います。
そこに例外が存在してしまったのが少し寂しいです。(と言っても、原作では叶真は放ったらかしだったので、そこを救った小説版はやはり素敵)

アキと倉田がああなってしまって、倉田×アキ殺しであったのは言うまでもない。

散々ディスった後で言うのも何ですが、言動に矛盾がある設定はとても好きです。生徒に対する思いやりも随所で感じられて、倉田はいくつもの顔があるキャラなんだなあと改めて思いました。

小説456Pで倉田が言った「あの人」とは一体誰なんだろう。マッドファーザーのお父さんな気もしなくもないけれど、ジェムをすべて集めたり、2周目プレイを実はしていない私にはわからないのであった。


次の記事ではストーリーや設定の感想と考察をちょちょっとまとめたい。多分二週間はやらないと思う。
何かあればこの記事も随時編集、ということになるかなあ。

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